あなたは
- 高血圧を下げる方法が知りたい
- 高血圧を放置しているとどうなるか
- 血圧が上がる仕組みを知りたい
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
結論からいえば、「食生活」と「生活習慣」を見直すことで、徐々に血圧を下げられます。
この記事では、高血圧を下げるための「食事」と「生活習慣」の具体的な方法を説明します。
具体的には、
1〜3章で「高血圧を下げるための食事のコツと生活習慣」
4章で「高血圧をすぐに下げる方法」
5〜6章で「高血圧の原因と放置すると発症する病気」
について説明します。
この記事を読んで、高血圧を下げる方法について理解し、少しずつ生活に取り入れてみてください。
目次
1章:高血圧を根本的に下げるには「食事」と「生活習慣」が大切
高血圧は、「生活習慣病」と言われるくらい、日常的に繰り返す「食事」と「生活習慣」が影響します。
血圧がかなり高いときは、自覚症状として以下の症状が起こる場合があります。
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
しかし、これらの症状は血圧以外の要因でも起こる場合があるため、気づきにくい場合がほとんどです。
高血圧の状態が続くと、日常的に血管に高い圧力がかかっている状態です。
血圧を正常な範囲に保っておかないと、動脈硬化が進行し、脳や心臓の重大な病気につながります。
そのため、日常的な「食事」と「生活習慣」をあらためて、高血圧を下げる必要があるのです。
次章から、2章で「高血圧を下げる食事のコツ」について、3章で「高血圧を下げるための生活習慣」について説明します。
2章:高血圧を下げる5つの食事のコツ
食事は、健康の維持と病気を未然に防ぐ疾病予防という、大きな役割を持っています。
日本人の食生活は、伝統的に塩、醤油、味噌などの調味料を使うことが多く、塩分の摂取が多くなりやすい傾向にあります。
そのため、日常的に食生活を改めないと、高血圧による病気を発症するリスクが高まってしまうのです。
根本的に血圧を下げるコツは、以下の5つです。
- 塩分を控える
- カリウムを十分に摂取する
- 食物繊維を十分に摂取する
- 青魚を食べる
- 摂取カロリーを適正に保つ
それぞれ説明します。
2-1:塩分を控える
塩分の摂取は、血圧に直接的な影響を与えます。
塩分を過剰に摂取すると、身体の塩分濃度を一定に保とうとし、身体は多くの水分を保持します。
その結果、体内の血液量も増加し、血管への圧力が高まり「高血圧」を引き起こすのです。
■摂取量の目安
日本人の「塩分」の摂取量と、日本や世界の食事摂取基準は以下のとおりです。
成人男性 | 成人女性 | |
日本人の実際の摂取量 | 11g | 9g |
日本の食事摂取基準 | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
高血圧の人の目標値 | 6g未満 | |
世界保健機関(WHO)
の摂取基準 |
5g未満 |
日本人の食生活は、他国と比較しても塩分摂取量は多いと言われています。
塩分の摂取量を減らすためには、食品表示ラベルや栄養表示を確認して、塩分をコントロールする意識を持ちましょう。
■調理や食事で塩分を減らすコツ
調理や食事の時の塩分を減らすコツは、以下のとおりです。
調理時のコツ | 食事の時のコツ |
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これらを参考にして、塩分の量を少しずつ減らすよう意識してみましょう。
2-2:カリウムを十分に摂取する
カリウムを摂取することは、高血圧を下げるためには効果的です。
カリウムは、塩分を汗や尿として身体の外に排出し、塩分の取りすぎを調節します。
■摂取量の目安
生活習慣病の予防を目的とした、成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量は、以下のとおりです。
男性 | 女性 | |
日本人の食事摂取機基準
(2020年版) |
3,000mg以上
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2,600mg以上 |
世界保健機関(WHO)
ガイドライン(2012年) |
男女とも3,510mg/日を推奨 |
■カリウムが多く含まれる食品
カリウムは、海藻などの藻類、果物、いも類、豆、野菜に多く含まれており、生鮮食品に多く含まれています。
水溶性という特徴があるため、生の状態で食べた方が効率的に摂取できるのです。
果物では、ドライフルーツが多くのカリウムを含みます。
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注意点としては、腎臓の機能が低下している場合、「高カリウム血症」となる場合があります。
腎機能が低下している方は、医師の指示のもとカリウムの摂取量を相談しましょう。
2-3:食物繊維を十分に摂取する
食物繊維は塩分を吸着して体外に排出して、高血圧を下げる効果があります。
他にも、糖質や脂質も体外に排出したり、食後血糖値の上昇を抑えたりする効果があります。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、特徴は以下のとおりです。
水溶性 |
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不溶性 |
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■摂取量の目安
食物繊維における「日本人の平均的な摂取量」と「日本人の食事摂取基準」、「欧米の成人病発症リスクによる研究報告」は、以下のとおりです。
男性 | 女性 | |
日本人の平均摂取量 | 14g/日 | |
日本人の食事摂取基準
(2020年版) |
18〜64歳は21g/日以上
65歳以上は20g以上 |
18〜64歳は18g/日以上
65歳以上は17g以上 |
欧米の成人病発症リスクによる研究報告 | 成人:24g/日
できれば1,000kcalあたり14g以上の摂取が好ましい |
■食物繊維が多く含まれる食品
食物繊維は野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも・でんぷん類に多く含まれています。
食物繊維が多く含まれる食品は、以下のとおりです。
穀類 | 玄米、胚芽米、麦飯、とうもろこし |
豆類 | 煮豆、納豆、おから |
いも類 | さつまいも、さといも、こんにゃく |
野菜類 | ごぼう、ふき、セロリ、アスパラガス、青菜類、キャベツ、白菜 |
果物 | 柑橘類、バナナ、うり類 |
きのこ類 | きくらげ、しいたけ、しめじ、えのき |
海藻類 | わかめ、寒天、ところてん |
食物繊維を摂取することで、高血圧だけでなく便秘の解消や肥満予防にもつながります。
サプリメントや健康食品での過剰な摂取は、身体に必要なミネラルまで吸収を妨げてしまうため、注意しましょう。
2-4:青魚を食べる
青魚を積極的に食事に取り入れることでも、高血圧の対策になります。
青魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった、オメガ3(n-3系)脂肪酸という成分が豊富に含まれているのです。
オメガ3脂肪酸は、血液をサラサラにする作用があり、血栓の形成を抑制します。
また、血管の柔軟性を維持して、血圧を下げる効果があります。
■摂取量の目安
オメガ3脂肪酸の摂取目標は、以下のとおりです。
成人男性 | 成人女性 | |
日本人の食事摂取基準
(2020年版) |
2.0〜2.4g/日 | 1.6〜2.0g/日 |
日本動脈硬化学会のガイドライン
(2017年版) |
EPA+DHAを1日1g以上摂取することを推奨 | |
アメリカ心臓協会(AHA) | 週に2回以上、1回約100g程度の魚を食べることを推奨 |
引用:魚を食べると高血圧リスクは減少 EPA・DHAの効果 「魚を1日100g以上」が目安(保健指導リソースガイド)
■摂取した方がよいとされる魚類
摂取した方がよい青魚の種類は、以下のとおりです。
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魚が苦手な場合は、EPA・DHAの成分を含んだサプリメントや健康食品もありますが、十分な効果が得られません。
青魚は良質なタンパク質源でもあるため、肉類の代わりとして取り入れることをおすすめします。
一度に多く摂取するというより、毎日少しずつ青魚を摂取することが好ましいでしょう。
2-5:摂取カロリーを適正に保つ
過剰なカロリー摂取は、肥満をまねき高血圧につながります。
肥満には「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」があります。
この内臓脂肪型肥満は、以下の要因で血圧を上昇させます。
- 体脂肪で圧迫された血管に血液を通そうとする
- 血液中の脂質が増えて血液がドロドロになり、心臓から血液を送り出す力が強くなる
- 食事摂取量が増えることで血液量も増える
■肥満度の確認
自分が肥満なのかどうかは、BMIを参考にするとわかりやすいでしょう。
BMIの計算式は、以下のとおりです。
体重(kg)÷(身長m÷身長m)
以下は、身長が175cmで体重が68kgの人を参考にした例です。
68(kg)÷(1.75m×1.75m)=BMI 22.204
肥満度分類:BMI
以下の肥満度分類に照らし合わせてみて、自分の身体の状況を確認してみましょう。
- ~18.4:低体重
- 18.5~24.9:普通体重
- 25.0~29.9:肥満(1度)
- 30.0~34.9:肥満(2度)
- 35.0~39.9:肥満(3度)
- 40.0~:肥満(4度)
■摂取量の目安
摂取カロリーの目標は、以下のとおりです。
日本人の食事摂取基準
(2020年版) |
成人男性 | 成人女性 |
30~49歳
身体活動レベル:普通 |
2,700kcal/日 | 2,050kcal/日 |
49~64歳
身体活動レベル:普通 |
2,600kcal/日 | 1,950kcal/日 |
ただし、年齢、性別、身体活動レベル、体格によって個人差があるため、自分に必要な摂取カロリーは専門家に相談して調整することが必要です。
■摂取カロリーを減らすコツ
摂取カロリーを下げるコツは、以下のとおりです。
- 肉・魚の調理方法は脂を減らし、「ゆで・蒸し」に
- 食事は野菜を多く食べられる料理を中心に
- 食事の最初に野菜を多く食べる
- 食べ物をよく噛んで、早食いを控える
- 小腹が空いたら低糖質、高タンパク質の食品をつまむ
肥満傾向の高血圧患者の場合、個別に適切なカロリー摂取量を設定することが重要です。
医師や栄養士などの専門家に、必要なカロリー摂取量を相談しましょう。
3章:高血圧を下げる5つの生活習慣
日本人の高血圧症の約90%は、「本態性高血圧」と言われています。
本態性高血圧は、前章で説明した食生活に加えて「生活習慣」が大きく関与します。
高血圧を下げるための「生活習慣」は、以下の5つです。
- 運動する
- お酒を控える
- 禁煙する
- ストレスを溜めない
- 定期的な通院と服薬
それぞれ説明します。
3-1:運動する
習慣的な運動は、血管を柔らかく保ち高血圧症を改善すると、多くの研究でも証明されています。
さらに、以下のような効果もあると言われています。
- 脂質や糖の代謝を改善する
- インスリン感受性の改善
- 循環器合併症による死亡率の低下
■有酸素運動の例
運動の方法は、有酸素運動が好ましいとされており、以下のような種類の運動が効果的です。
- ウォーキング
- 早歩き
- ランニング
- サイクリング
- 水中運動
- 水泳
■頻度
頻度としては、以下のとおりです
- 毎日30分以上
- 毎日10分以上を合計40分以上
これらの運動を「ややきつい」くらいの運動強度で行うことが推奨されています。
しかし、急に始めると身体への負担が強いため、日常生活で身体活動量を増やすことから始めてみましょう。
また、ストレッチを取り入れてみたり、慣れてきたら筋力トレーニングを加えたりすると効果的です。
筋力トレーニングは、息をこらえやすく血圧を上昇させるため、注意しましょう。
3-2:お酒を控える
少量・適量の飲酒は循環器の病気に対して、保護的に働くと言われています。
しかし、日常的に多量のお酒を飲むことが習慣化している場合、高血圧の要因となります。
お酒を飲むことによって、高血圧になるメカニズムは、以下の可能性が考えられるとされています。
- 飲酒によって交感神経が亢進する
- ホルモンバランスが崩れる
- 体内の水分と塩分のバランスが崩れる
日本、アメリカ、韓国の20〜70代までの約2万人弱を対象とした研究でも、日常的にアルコールを飲み過ぎている人は、血圧が高くなりやすいことが明らかになっています。
■健康的なお酒の量
お酒の飲み方として、健康的とされているお酒の量は以下のとおりです。
- 基本的に2ドリンク(1合程度)
- 1ドリンク=10gのアルコール量=ビール中ビン0.5本、日本酒0.5合に相当
1日に1合程度のお酒であれば、血圧を一時的に下げると言われており、心不全や脳卒中に対しても保護的に働くとされています。
しかし、それ以上の飲酒では高血圧の原因や、心疾患・脳卒中のリスクが増加すると言われています。
個々人の体質や体格によって許容量が異なりますが、高血圧を予防するには少量のお酒の量が好ましいでしょう。
引用:アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査(保健指導リソースガイド)
3-3:禁煙する
たばこは高血圧の原因となるため、禁煙することで血圧を下げる効果が得られます。
たばこは、以下の要因で血圧を上昇させます。
- ニコチンが交感神経を刺激し、血管を強く収縮させ、血流を悪くする
- 煙に含まれる一酸化炭素により、酸素不足となり、心拍数の増加・血管が収縮する
- 血液の粘度が高まり、動脈硬化の原因となる
一本のたばこを吸うことで、血圧は約10mmHg上昇し、喫煙後30分ほどその状態が継続するとされているのです。
日常的に喫煙をしている場合は、断続的に血圧が高い状態のまま推移していることが考えられます。
■禁煙のコツ
禁煙するための具体的なコツは、以下のとおりです。
- 禁煙開始日を決める
- 自分で禁煙する目的を決めて書き出す
- 周囲に禁煙することを宣言する
- 吸いたくなるパターンを把握する
- ニコチンガムやパッチで離脱症状の対策をする
今は医療機関の禁煙外来で、一定の条件を満たせば健康保険を使って禁煙治療が受けられます。
どうしても禁煙が難しいという方は、医師や看護師、薬剤師に相談することも検討してみましょう。
引用:喫煙と循環器疾患
3-4:ストレスを溜めない
ストレスを溜めないことも、高血圧を下げるための対策になります。
ストレスには、「精神的なストレス」と「身体的なストレス」があります。
特に現代の日本は、ストレス社会と表現されることも多く、精神的ストレスを感じる場面が多いです。
身体はストレスを受けることで、「緊張モード(交感神経)」が働き、血管を収縮させるため血圧が上昇します。
■ストレスによる状態
以下のような状態が当てはまる方は、ストレスが強くかかっている可能性があります。
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■ストレスへの対策
以下のような方法で、ストレスへの対策を日常的に心がけましょう。
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ストレスによる高血圧の対策としては、まずは自分のストレスを自覚することが大切です。
適切なストレス対策をして、ストレスによる高血圧の影響を軽減させましょう。
3-5:定期的な通院と服薬
高血圧を下げるためには、根本的に生活習慣を整えることが必要です。
しかし、病気を未然に防ぐために、すぐに血圧を下げることが必要な場合もあります。
そのため、定期的な通院と医師の適切な指示のもと服薬することが大切です。
定期的に受診している方は、まずはかかりつけ医へ相談してみましょう。
健康診断などで高血圧症を指摘された場合は、近隣の内科や循環器内科の受診を検討してみてください。
■血圧を下げる薬
高血圧症に対しては、生活習慣の改善と合わせて服薬治療を選択されることが多いです。
主な降圧効果のあるお薬は、以下のとおりです。
カルシウム拮抗薬 | 血管を広げ、血流をよくし血圧を下げる効果 |
アンギオテンシンII受容体遮断薬
(ARB) |
血圧を上昇させる物質の働きを抑える
腎臓の機能を保護する |
アンギオテンシン変換酵素阻害薬
(ACE阻害薬) |
血圧を上昇させる物質の産生を抑える
腎臓を保護 |
利尿薬 | 尿の排泄を促し、体の中の血液を減らし血圧を下げる |
β遮断薬 | 心臓の過剰な働きを抑え、血圧を下げる |
医師の適切な指示のもと、血圧を下げるために定期的な服薬を心がけましょう。
4章:すぐに高血圧を下げる5つの方法
高血圧の状態から血圧をすぐに下げたい場合は、以下の方法を試してみると良いでしょう。
■深呼吸
深呼吸は、交感神経から副交感神経に切り替えられる方法です。
以下の方法を試してみてください。
- 背筋を伸ばして座る。
- 鼻からゆっくりお腹に空気を溜めるように息を吸う。
- 口からお腹の空気を全て出し切るように息を吐く。
- 吐く時はゆっくり吸う時の倍の時間をかけて。
- 1日10〜20回程度を目安に続ける。
■水を飲む
水分不足は、血液がドロドロになって身体中に血液を送るのに強い圧力が必要になります。
飲用の水分としては1.2L程度摂取することが好ましいとされています。
逆に、過度の水分摂取は血圧を上げる場合もあるため、1回に多く飲むのではなく、こまめな摂取を心がけましょう。
■休息をとる
休息をとることにより、自律神経のスイッチを切り替え、副交感神経を優位にしましょう。
交感神経の過剰な働きを抑えるのに、一番よい方法は習慣的に「良質な睡眠をとる」ことです。
すぐに血圧を下げたい場合は、横になって安楽な姿勢を取り、深呼吸をして一時的な休息をとりましょう。
■軽い運動
負荷が軽い有酸素運動は、血管を拡張して血流を改善するため血圧を下げる効果があるのです。
また、運動は心肺機能の向上やストレスを軽減する効果もあります。
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を1日30分ほど行うことが推奨されています。
■薬を飲む
以上の方法でも、すぐに血圧を下げる効果が期待できるかもしれません。
しかし、高血圧の原因によっては効果を発揮しにくい場合もあります。
そのため、自分の体調に合った血圧の薬を内服することも大切です。
降圧効果がある、市販の「特定保健用食品」や「機能性表示食品」は、十分な効果が期待できるものではありません。
まずは医療機関を受診し、医師に相談してみましょう。
しかし、これらの方法はあくまでも応急処置的な方法です。
病気を予防するためには、上述してきた食生活と生活習慣を整える必要があることを、念頭において取り組んでみてください。
5章:高血圧の原因
高血圧になる原因は、どういった要因があるのでしょうか。
「血圧が上がる仕組み」と、「高血圧の原因5つ」について説明します。
5-1:血圧が上がる仕組み
血圧は、血液が血管(動脈)内の壁に与える圧のことを指し、以下の要因で決まります。
心臓から送り出される血液量(心拍出量)×末梢血管の流れにくさ(末梢血管抵抗)
したがって、血圧の上昇と下降は、下記のように決まります。
血圧が上がる |
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血圧が下がる |
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血圧は主に、神経性因子(自律神経系)と体液性因子(ホルモン)と呼ばれる、生体反応で調整されています。
■神経性因子(自律神経因子)
神経性因子は、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」の働きによる血圧の調整機構です。
両者の働きによる、血圧の変化は以下のとおりです。
交感神経が興奮→血管収縮、心拍数上昇→血圧上昇 |
副交感神経が興奮→心拍数の低下、心収縮力低下→血圧下降 |
■体液性因子(ホルモン調整)
体液性因子は、ホルモンが心臓や腎臓などの臓器や血管に作用することで、身体の状態を一定に保とうとする機構です。
様々なホルモンが心臓や腎臓に働きかけ、血圧を上昇・下降させます。
5-2:高血圧になる5つの原因
■遺伝
遺伝的要因は、「塩分感受性」や「血管の反応性」が遺伝の影響を受け、高血圧の原因になります。
両親のどちらかが高血圧症の場合、子供が高血圧になるリスクは2倍、両親共に高血圧の場合はリスクは4倍に上がるという報告もあります。
遺伝的なリスクがあっても、生活習慣の改善によって高血圧を予防できるため、医療機関でも相談してみましょう。
■加齢
加齢も高血圧の原因になります。
加齢に伴って腎臓の機能が低下すると、塩分や水分の排出能力が低下します。
バランスのよい食事と適度な運動を継続し、血管や内臓への過度な負担を減らしましょう。
不必要に身体に負担をかけないよう、なるべく身体を若い状態に保つことが大切です。
■喫煙や飲酒などの嗜好品
喫煙と飲酒は、どちらも高血圧の原因となる生活習慣です。
どちらも依存性があるため、やめようと思ってもなかなかやめられません。
まずは禁煙、お酒を控える目的を決めて、1日、1週間でどれくらい利用しているかを確認してみましょう。
必要に応じて医療機関で専門家の力も借りながら、禁煙・節酒できるように取り組むことが大切です。
■肥満
肥満の人は、そうでない人と比べると2〜3倍も高血圧になる可能性があります。
肥満によって、血液がドロドロになり、血管が収縮・圧迫され血圧が上昇します。
減量や運動は、降圧効果があることが研究でも報告されています。
食生活を見直し、日々の生活の中で少しずつ有酸素運動を取り入れてみましょう。
■ストレス
日常的なストレスによっても、高血圧を引き起こします。
ストレスによって、交感神経が活発になったり、不健康な生活習慣に陥りやすくなったりします。
深呼吸や瞑想、ストレッチなどのリラックスできる方法や、十分な睡眠と休息を確保しましょう。
それでもストレスが解消できない場合は、「心療内科」や「カウンセラー」などの専門家に相談することも大切です。
6章:高血圧が引き起こす6つの病気
高血圧は血管にダメージを与えることで、様々な病気を引き起こす可能性を高めます。
高血圧が引き起こす「代表的な6つの病態」と、発症しやすい「病気の種類」は、以下のとおりです。
心血管疾患 |
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認知症 |
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脳血管疾患 |
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眼底出血 |
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腎臓疾患 |
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大動脈瘤 |
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いずれの病気も、発症することで入院治療が必要になったり、障害が残って日常生活に大きな影響が出たりします。
また、最悪の場合は命の危険にもつながるため、注意が必要です。
こういった重大な病気を予防するためにも、高血圧を根本的に下げる必要があります。
「食事のコツ」と「生活習慣」を少しずつ見直して、高血圧を解消しましょう。
まとめ:高血圧を下げる方法
高血圧は、病気を発症するリスクを高め、その後の生活に大きな影響を与える可能性があります。
根本的な高血圧の治療には、「食生活」と「生活習慣」を変える必要があり、効果がすぐに出にくいことがほとんどです。
そのため、日常的に血圧を測定・管理しながら、時間をかけて取り組む必要があります。
高血圧を下げる方法は、食生活のコツと生活習慣に分けられます。
以下の表をご参照ください。
5つの食事のコツ | 5つの生活習慣 |
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特に「塩分を控える」ことと「禁煙」、「お酒を控える」ことは直接的に血圧に影響を与えるため、積極的に生活の中で実践したい内容です。
また、必要な栄養素の摂取や、適度な運動習慣を持つことで、補助的に血圧を下げることに影響を与えます。
すぐに血圧を下げたい場合、方法は以下のとおりです。
しかし、根本的に血圧を下げないと、病気のリスクは下げられないため、あくまで応急処置的な方法です。
日々、自分の身体のために「食生活」や「生活習慣」を見直し、高血圧による病気を未然に防ぎましょう。